2023-08-29
不動産の所有者が認知症などを患うと、その不動産は売却や活用ができなくなります。
このような事態に備えて検討したいのが「家族信託」です。
本記事では、空き家対策に有効な家族信託とは何か、制度内容やメリットを解説します。
台東区で空き家を相続するご予定の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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近年、空き家の増加が社会問題となっているのをご存じでしょうか。
総務省が5年ごとに公表する「住宅・土地統計調査」によると、平成30年の空き家率は13.6%と過去最高水準です。
今後も空き家は増加すると予想され、2033年には空き家率が30%を超えるとされています。
空き家はそのまま放置していると、倒壊や犯罪のターゲットにされる恐れがあり大変危険です。
また「特定空家」に指定された場合、固定資産税の増加や過料の対象となる可能性もあります。
このように空き家の放置はさまざまなリスクを生みますが、そもそもなぜ日本では空き家が増加しているのでしょうか。
ここからは、空き家が生まれる原因について解説します。
空き家増加の大きな原因は、年々高齢者が増えていることにあります。
高齢になると病院にかかる回数が多くなり、場合によっては入院や介護施設の入所を余儀なくされることもあるでしょう。
同居人がおらず1人で住んでいた場合、その家は空き家となってしまいます。
内閣府が公表している「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は全体の49.7%(令和3年時点)です。
高齢者は年々増加傾向にあるため、それに伴い空き家も増えていくと予想されます。
相続時のトラブルが原因で、空き家になってしまうケースも少なくありません。
物件の所有者である被相続人が亡くなると、基本的には相続人の間で遺産分割協議をおこないます。
この遺産分割協議を成立させるには、相続人全員から同意を得なければなりません。
そのため相続人同士で揉めてしまうと、誰が不動産を相続するかが決まらず、そのまま放置されるケースも多いです。
遺産分割協議を中断したまま長期間が経過すると、やがて所有者不明の空き家となり、売却や活用がさらに難しくなります。
不動産の所有者が認知症などを患い判断能力を失うと、不動産売却がおこなえません。
たとえば売買契約を結んだとしても、所有者に判断能力がないと判断されれば、その契約は無効となります。
この場合、所有者が死亡して相続が発生するまで、空き家はどうすることもできず放置するしかありません。
また相続が発生した場合でも、空き家を相続したい方がおらず、協議が進まずに放置され続けてしまう恐れもあります。
高齢化が進んだ現代では、認知症が原因で不動産売却ができず、空き家となるケースが少なくありません。
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続いて、家族信託の制度内容と注意したいポイント解説します。
家族信託とは、自分で財産を管理できなくなったときに備えて、財産を管理する権利を家族に与えておく制度です。
家族信託の契約を結んでおけば、万が一所有者が認知症などにより判断能力を失っても、家族が代わりに不動産を管理できます。
また管理だけでなく、必要に応じて不動産を売却や賃貸し、売却益を所有者の介護費用などに充てることも可能です。
家族信託は、次の3者で構成されています。
一般的な家族信託では、委託者・受益者が親、受託者が子となります。
たとえば父が認知症を患い、介護施設に入居するため実家が空き家状態になったとしましょう。
父の認知症が進み、本人の判断能力が十分でないと判断された場合、原則として子どもが実家を売却することはできません。
しかし事前に家族信託の契約を結び、受託者を子どもに設定しておけば、子どもが親の代わりに売却手続きを進められるようになります。
家族信託を検討する際の注意点として、所有者が認知症になってからでは利用できないことが挙げられます。
なぜなら、家族信託も「契約」を締結してはじめて効力を発揮する制度だからです。
先述したように、本人の判断能力がない状態で契約を結んだ場合、その契約は無効となります。
そのため、親が認知症を患ってしまってからでは、家族信託の契約を締結をすることができません。
将来実家が空き家になると予想できる場合は、早めに家族信託を結んで対策しておくことをおすすめします。
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家族信託のメリットは、所有者の認知症により不動産が空き家になるのを防ぐことだけではありません。
ここからは、家族信託を利用するメリットについて解説します。
家族信託の契約を「自益信託」にすると、贈与税が発生しないというメリットがあります。
自益信託とは、親を委託者および受益者、子を受託者、委託者の自宅を信託財産とする契約のことです。
財産を家族に託して、自分のために管理処分してもらう契約と考えると良いでしょう。
この場合、財産を預ける方と財産の利益を得る方が同じであるため、贈与税の対象にはなりません。
ただし委託者と受益者が異なる場合は、贈与税の課税対象となるためご注意ください。
孫やひ孫など数世代先の財産承継まで指定できる点も、家族信託のメリットです。
遺言による相続の場合、直接の相続人や受遺者しか指定できず、二次相続のことまでは指定できません。
一方で家族信託においては、2~3代先の孫やひ孫の代まで、財産移転の承継を指定できます。
二次相続や三次相続に備えられるため、相続に関する不安も軽減できるでしょう。
受託者の判断で不動産を処分できる点は、家族信託の大きなメリットといえます。
資産管理の引継ぎ手段として、家族信託のほかに「成年後見制度」という制度もあります。
しかし成年後見制度の場合、不動産を処分する際には原則として家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所の許可を得るには、書類を集めて申し立てをしなければならず、費用や時間がかかってしまいます。
家族信託では、こうした手続きが必要なく、受託者の判断で不動産を処分できる点がメリットです。
家が空き家状態になる期間を短くできるため、トラブルの発生を回避する方法としても有効といえるでしょう。
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家族信託を結んでおけば、万が一親が認知症を患った場合も、受託者の判断で不動産を処分できます。
空き家対策として効果的な手段の1つですが、親が認知症になってしまってからでは利用できません。
親が1人で実家に住んでおり将来空き家になることが予想できる場合は、早めに家族信託を結んでおくことをおすすめします。
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